フジテレビ苦境の本質は「経営陣の硬直化」にあり ―次期社長に求められる資質とは

最近、フジテレビの経営問題が世間を賑わせていますよね。元タレントの中井雅宏さんと女性とのトラブルがきっかけとなり、社長と会長の辞任に発展。第三者委員会の調査報告書の公表、そして6月には株主総会と、フジテレビは激動の時を迎えています。
僕自身、デザイナー歴18年以上の経験から、組織の硬直化がどれだけ創造性や成長を阻害するかを痛感してきました。フジテレビの状況を見ていると、「あぁ、これは組織の硬直化が根本にあるな」と感じずにはいられません。
今回は、フジテレビが直面している苦境の本質と、次期社長に求められる資質について、僕なりの視点で掘り下げていきたいと思います。メディア業界の未来にも関わる重要な問題ですので、ぜひ最後までお付き合いください!
フジテレビ苦境の背景にある「経営陣の硬直化」
まず、フジテレビの現状をしっかり理解するところから始めましょう。
リアルバリューの討論会で堀江さんが言及していたように、フジテレビの問題は単純な不祥事対応だけではありません。もっと根深いところに原因があるんです。
たとえば、第三者委員会の調査報告書では、フジテレビの人権侵害に関する意識の低さや内部統制の機能不全などが厳しく指摘されています。これって、まさに経営陣の硬直化が引き起こした問題だと思うんですよね。
具体的には、以下のような問題が浮き彫りになっています:
- 長年続いた同質的な経営陣による意思決定
- 変化を恐れる保守的な企業文化
- ネットメディアへの適応の遅れ
- 視聴率偏重の古い成功指標への固執
- 若手の意見が通りにくい階層構造
特にネット対応の遅れについては、リアルバリューの討論会で堀江さんが「フジテレビはネットにアレルギーがある」と指摘していました。これ、めちゃくちゃ重要なポイントだと思います。今やメディア消費の中心はテレビからネットに移行しているのに、その波に乗り遅れてしまったんですよね。
資生堂の例を見ても分かるように、外部出身のプロ経営者である魚谷雅彦氏が就任後、公用語の英語化やグローバル人材の積極起用など大胆な改革を打ち出し、一時は売上や株価の向上に貢献しました。しかし、その成長の原動力は中国市場の拡大やインバウンド需要による「外部要因」の面が大きかったとも言われています。
フジテレビも同様に、外部環境の変化に対応できず、内部の硬直化が進んでしまったと考えられます。

フジテレビ内部からの告発文書が示す現場の実態
リアルバリューで紹介されていた、フジテレビの現役社員からの手紙には、現場の切実な声が綴られていました。その内容が本当に衝撃的だったんです…!
「冷枝さんの最大のしくじりは認知権を持ったこと」「港さんも制作マンとしては優秀、しかし経営のトップとしては疑問」「編成のトップのT松さんもとてもその器ではない」
この手紙からは、現場の社員たちが経営陣の問題点を痛感していることが伝わってきます。特に「1200人程度の社員に対して役員が25名」という指摘は、組織の肥大化と非効率性を端的に表していますよね。
さらに、「制作現場は心と体が疲れ切っていて、100%ものづくりに集中するには難しい環境に置かれている」という声も。クリエイティブな仕事をする上で、こうした環境は致命的です。僕自身、デザイナーとして制作現場の空気感がどれだけ重要か身にしみて分かります。
そして「20代30代は自分たちの未来のため、三冠王をちょうど味わった40代50代は再びエンタメで世の中を楽しませたいのと下の子たちの未来のため」という部分からは、若手・中堅社員の間に変革への強い意欲があることが伺えます。
これは希望の光ですよね!組織を変えるエネルギーは確実に内部に存在しているんです。
硬直化した経営陣の問題点と影響
経営陣の硬直化がフジテレビにもたらした影響は、想像以上に深刻です。
リアルバリューの討論会で水口さんが指摘していたように、「CM収入にたかだか1500億円弱ほどしか頼っていないから、大口スポンサーの意向を組まないといけないからつまらないコンテンツしか作れない」という状況に陥っています。
具体的な問題点としては:
- スポンサーへの過度な配慮による制作の萎縮
- リスクを取らない保守的なコンテンツ制作
- デジタル化への対応遅れによる若年層の離反
- 新しいビジネスモデルへの転換の遅れ
- 社内の縦割り構造による部門間の連携不足
港浩一社長は日経ビジネスのインタビューで「制作現場は軽く野放しがいい」と語り、「番組から自前の知的財産(IP)を生み出さなければいけない」と指摘しています。これは正しい方向性だと思うんですが、実行に移せているかは疑問です…。
現在の広告収入の収益比率は7割で、残りの3割が映画やイベント、動画配信サービス「FOD」といった非広告収入だそうです。これを5対5にしていく計画とのことですが、そのためには経営陣の大胆な変革が必要でしょう。
堀江さんが言うように、「フジテレビWi-Fi」のようなMVNO事業に参入するなど、放送外の事業展開も視野に入れるべきかもしれません。
次期社長に求められる資質とは
では、フジテレビを再生させるために、次期社長にはどんな資質が求められるのでしょうか?
リアルバリューの討論会では、堀江貴文さんが社長候補として名前が挙がっていることが話題になっていました。これは非常に興味深いポイントです!
実際、6月の株主総会に向けて、経営陣の刷新が大きな焦点となっています。現在の状況を打破するためには、次のような資質を持つリーダーが必要だと思います:
- デジタルトランスフォーメーションの知見と実行力
- コンテンツビジネスの本質的理解
- 多様な収益モデルを構築できる経営センス
- 組織文化を変革できるリーダーシップ
- 若手の才能を引き出せる懐の深さ
- グローバル展開を推進できる国際感覚
特に重要なのは、「IPの活用」と「デジタル戦略」です。港社長も指摘していますが、フジテレビには「アイノリ」などの強力なIPがあります。これらを最大限に活用し、デジタル時代に適応したビジネスモデルを構築できる人材が求められます。
また、「組織文化の変革」も不可欠です。硬直化した組織文化を打破し、クリエイティブな発想が評価される環境を作れるリーダーが必要です。

株主総会で注目されるレオス・キャピタルワークスの動向
今年2月にフジ・メディア・ホールディングス(FMH)の大株主となった資産運用会社レオス・キャピタルワークスの動向が注目されています。
同社の藤野英人社長は、フジテレビの問題に関する第三者委員会の報告書を読み、「予想よりひどい」と評価。一方で、人事案については「70点」と述べています。
堀江さんが指摘していたように、株主総会での議決権行使は非常に複雑です。フジテレビの株主構成を見ると、自己株式が10%近く、関西テレビが25%以上保有しているとされています。さらに外国人投資家の保有比率も高いため、実質的な議決権は全体の80%程度になる可能性があるとのこと。
そのため、40%以上の株主がどちらにつくかが重要なポイントになります。特に上場企業などの機関投資家がどのような判断を下すかが焦点となるでしょう。
堀江さんは「株主側がカムーシティアンが勝つ可能性も十分ある」と指摘しています。これは非常に興味深い展開ですよね…!
もし株主側が勝利した場合、不動産会社とメディア会社にカーバードする可能性もあるとのこと。つまり、両者に不動産会社の株とメディア会社の株が渡され、持ち合い株や有価証券も売却される可能性があります。
株主総会の行方は、フジテレビの将来を大きく左右する重要な分岐点となりそうです。
FODの強化とサブスクリプションモデルへの転換
フジテレビの再生にとって、動画配信サービス「FOD」の強化は避けて通れない課題です。
リアルバリューの討論会で堀江さんが指摘していたように、現在FODは約150万人の会員数とのこと。一方、TBSとテレ東が展開する「Paravi(パラビ)」は、TBSの特にドラマの資産が豊富なこともあり、急成長しているそうです。
堀江さんは「FODも同じぐらいあるいはそれを上回る資産を持っていると思うので、例えば10倍の1500万とかに行く可能性は全然ある」と述べています。そのためには「アプリのUIをもっと良くしなきゃいけないとか、動線を良くしなきゃいけないとか、徹底的に地上波テレビ番組と協業しなきゃいけない」と指摘しています。
水口さんも「CM収入に頼らないビジネスモデルをどう作るか」が重要だと強調しています。サブスク収入が半分を超えれば、スポンサーへのクレームを過度に恐れる必要がなくなり、より自由なコンテンツ制作が可能になります。
港社長もインタビューで「足元では広告収入の収益比率は7割で、残りの3割が映画やイベント、動画配信サービス「FOD」といった非広告収入です。これを5対5にしていきます」と述べており、方向性としては正しいと思います。
FODの強化には、以下のような施策が必要でしょう:
- ユーザーインターフェースの改善
- オリジナルコンテンツの強化
- アーカイブコンテンツの充実
- 地上波との連携強化
- 料金体系の見直し
- マーケティング戦略の刷新
堀江さんは「サブスク収入が半分を超えれば経営が安定するので、スポンサーへのクレームにそこまで怯えなくてもよくなる」と指摘しています。これは非常に重要なポイントだと思います!
IPの活用と海外展開の可能性
フジテレビの再生において、IPの活用と海外展開は大きな可能性を秘めています。
港社長は「かつて『トリビアの泉』がヒットした際、出演者が押す『へぇボタン』を模した商品を売り出しました。約2000円と結構な値段でしたが、10万個も売れました。こうしたIPをそれぞれの番組で考えていこう」と述べています。
また、海外展開についても「これまでの海外展開は番組のフォーマット権を販売するビジネスが中心でした。かつての人気バラエティー番組『料理の鉄人』ではネットフリックスにフォーマット権を販売し、『Iron Chef(アイアン・シェフ)』というタイトルで22年から米国など世界190の国と地域で配信されています」と具体例を挙げています。
さらに「今後力を入れていくのがコンテンツの共同開発です。企画の立ち上げから一緒に進め、IPも共同で持ち合うという流れが始まっていて、既に提携も発表しています」と新たな方向性も示しています。
堀江さんも「日本のIPまとめてゴリッと」海外展開すべきだと主張しています。「グローバルで日本の音楽IPってめちゃ注目されてるんです。外人のDJがK-POPよりもこれからJ-POPだろうってなってJ-POPの歴史とバラエティの多さにめちゃくちゃ注目をしていて」と指摘しています。
具体的な海外パートナーとしては、港社長によれば「米国のスカイバウンドは有力な制作会社で、ドラマを共同で作ります。動画配信サービスの中国BiliBili(ビリビリ)とはアニメを、韓国のカカオエンターテインメントともドラマを共同制作します」とのこと。
IPの活用と海外展開は、フジテレビの新たな収益源となる可能性を秘めています。しかし、それを実現するためには、経営陣の大胆な判断と実行力が不可欠です。
デジタル時代のテレビ局の生き残り戦略
デジタル化の進展により、テレビ局のビジネスモデルは大きな転換点を迎えています。
リアルバリューの討論会で森川さんが指摘していたように「地上波を電波を使って見てる人って相当減ってます」。この現状を踏まえると、テレビ局は「番組を作る会社、制作会社としては生き残る可能性があるけど、電波を流す局としての価値というのは世界的に多分なくなっている」と言えるでしょう。
また、「ライブよりもネットフリックスみたいなオンデマンドミルスというのが多い」という指摘も重要です。視聴者の消費行動が変化している中で、テレビ局はどのように適応していくべきなのでしょうか?
港社長は「番組制作費を投資と考えなければいけません。一回一回の放送で制作費をオーバーしたらいけないという考え方にとらわれず、長いプロジェクトの中でDVDや配信、イベントなども含めてマネタイズすればいい」と述べています。
また、水口さんは「KPIをそもそも視聴率にしているというのが、だいぶ古い」と指摘し、「1番組あたりどれだけ売上がったか?とか、あるいはFODだったらFODのサブスクの関係数どれだけ伸ばしたか」といった新しい指標の重要性を強調しています。
デジタル時代のテレビ局の生き残り戦略としては、以下のようなポイントが重要でしょう:
- コンテンツ制作力の強化と多様なプラットフォームでの展開
- IPの戦略的活用と新たな収益モデルの構築
- デジタルプラットフォームとの連携強化
- データ活用によるパーソナライズされたコンテンツ提供
- グローバル市場を視野に入れた展開
- 視聴率以外の新たなKPIの設定と評価
堀江さんが指摘するように「電波の上下分離」という考え方も一つの選択肢かもしれません。「上下分離って、だいたい業界が危機に陥らないと起こらない」としながらも、「通信はかなり前に上下分離されて」おり、「電波の喪失マスター室みたいなものは開放して、番組制作を今はフジテレビがやってるんだけど、フジテレビが電波を喪失してフジテレビがコンテンツを作ってるんですよ」という形も考えられます。
フジテレビ再生に向けた具体的提言
ここまでの分析を踏まえて、フジテレビ再生に向けた具体的な提言をまとめてみたいと思います。
まず、経営陣の刷新は避けて通れない課題です。リアルバリューの討論で「フジテレビが生き残るには経営陣を変えないといけない」という意見が多く出ていましたが、私もこれに強く同意します。
次に、ビジネスモデルの転換も急務です。水口さんが指摘していたように、「CM収入にたかだか1500億円弱ほどしか頼っていないから、大口スポンサーの意向を組まないといけないからつまらないコンテンツしか作れない」という状況から脱却する必要があります。
具体的な提言としては:
- 経営陣の大胆な刷新と外部人材の登用
- FODの強化によるサブスクリプション収入の拡大
- IPの戦略的活用と新たな収益源の開発
- 制作現場の自由度を高め、クリエイティビティを引き出す環境整備
- デジタルファーストの発想への転換
- グローバル展開の積極推進
- 若手人材の育成と登用
港社長は「若手が企画した番組が放送される機会も増えています」と述べていますが、さらに徹底した若手の登用が必要でしょう。
また、堀江さんが指摘するように、「サッカーワールドカップは FODとフジテレビでしか見れないんです」というような独自コンテンツの強化も重要です。
フジテレビには「アイノリ」や「トリビアの泉」などの強力なIPがあります。これらを最大限に活用するとともに、新たなIPの創出にも力を入れるべきでしょう。
最後に、組織文化の変革も不可欠です。現場の社員が「100%ものづくりに集中する」ことができる環境を整備し、クリエイティブな発想が評価される文化を醸成する必要があります。
まとめ:フジテレビの未来と日本のメディア産業
フジテレビの苦境は、単なる一企業の問題ではなく、日本のメディア産業全体の課題を象徴しています。
デジタル化の波に乗り遅れ、硬直化した経営体制に縛られたフジテレビの姿は、変革を恐れる日本企業の典型とも言えるでしょう。しかし、その中にも希望の光はあります。
現場の社員たちは「変わりたいは伸びしろ」と感じており、変革への強い意欲を持っています。また、「アイノリ」などの強力なIPや、「FOD」というデジタルプラットフォームも持っています。
6月の株主総会は、フジテレビの未来を左右する重要な分岐点となるでしょう。レオス・キャピタルワークスなどの株主がどのような判断を下すのか、非常に注目されます。
堀江さんは「日本の未来がかかってますよね」と述べていますが、まさにその通りだと思います。フジテレビの改革が成功すれば、それは日本のメディア産業全体に大きな影響を与えるでしょう。
最後に、フジテレビに限らず、あらゆる組織にとって「変化を恐れない勇気」と「創造性を尊重する文化」が重要であることを強調したいと思います。僕自身、デザイナーとして様々な企業と仕事をしてきましたが、最も成功している組織は常に変化を恐れず、創造性を最大限に引き出す環境を整えています。
フジテレビが再び輝きを取り戻し、日本のメディア産業をリードする存在になることを心から願っています!
いかがでしたか?フジテレビの苦境と再生に向けた道筋について、僕なりの視点でお伝えしました。
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