なぜ人材エージェントから急に連絡が来るようになったのか?
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こんにちは、papanaviです。
先日、ちょっと不思議なことがありました。
何年も前に登録して、それ以来一切連絡がなかった人材紹介サービスから、急に電話がかかってきたんです。
「え、今さら?」という感じだったんですが、話を聞いてみると、なんとも言えない違和感を覚えました。
今日は、この出来事をきっかけに考えたこと——フリーランスとして働く上で、人材エージェントとの付き合い方や、「本当に価値のある働き方」について書いてみようと思います。
何年も音沙汰なかったエージェントから急に電話が来た話
正直、登録したことすら忘れていました。
確か、フリーランスになったばかりの頃、とりあえず登録しておこうかなくらいの気持ちで情報を入れたんだと思います。それから何年も経って、一度も案件の紹介がなかったのに、急に電話です。
しかも、こちらから「また連絡しますね」と言ったら、「1ヶ月後にまた連絡させてください」と食い下がってくる。
なんだか、ちょっと必死だなという印象を受けました。
紹介された案件の条件を聞いてみると:
- 時給2,500円
- 週3日勤務
- 1日8時間拘束
- 月収にして約22万円
計算してみると、月96時間の拘束で22万円。これが良い条件なのかどうか、ちょっと考えてしまいました。
なぜ今、人材紹介会社は苦しいのか?
人材紹介会社やエージェント系のビジネスが、ここ数年で厳しくなっているという話は、業界内ではよく聞きます。
結論から言うと、「間に入る価値」が薄れてきているんです。
マージンビジネスの構造的な問題
人材エージェントの基本的なビジネスモデルは、企業とフリーランスの間に入って、その差額(マージン)で利益を得るというものです。
でも、この構造には大きな問題があります。
特に2024年後半から、人材紹介業の倒産・廃業が増えているというニュースも出ています。中小のIT系エージェントは特に厳しい状況だと言われています。
苦しくなっている3つの理由
1. 企業側が直接採用にシフトしている
– 採用コストを下げたい
– 質の高い人材を自社で見極めたい
2. AIツール導入で「人を増やす」より「効率化」が優先
– 以前ほど人手を必要としなくなった
– 既存メンバーの生産性を上げる方向へ
3. フリーランス案件自体の単価が下落傾向
– 競争が激化している
– 「安くてもいいからやりたい」という人も増えている
だから、昔の登録者リストを掘り起こして、片っ端から電話をかけている可能性が高いんです。僕のところに連絡が来たのも、たぶんそういう流れでしょう。
時給換算で見えてくる「割に合わない」の正体とは?
さっきの案件をもう一度見てみます。
時給2,500円と聞くと、悪くないように感じるかもしれません。アルバイトと比べたら高いですよね。
でも、フリーランスとして独立している立場から見ると、話が変わってきます。
冷静に計算してみる
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時給2,500円 × 8時間 × 週3日 × 4週 = 約24万円
月間の拘束時間 = 96時間
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一方で、僕の場合は1つのデザイン案件で20万円前後いただけることもあります。
※案件によります。もっと高い時もありますし、もっと安い時もあります
もちろん、案件によって金額は違いますし、毎月安定してその金額が入るわけではありません。でも、96時間も拘束されたら、その間に何本の案件をこなせるか?という話になるんです。
時間単価で考えることの重要性
フリーランスにとって、時間は最も貴重な資源です。
もちろん、これは極端な比較かもしれません。直接受注でも時間がかかる案件はあります。
でも、大事なのは「時間をどう使うか」という視点を持つこと。週3日・8時間という固定の拘束は、フリーランスの最大のメリットである「時間の自由」を奪ってしまうんです。
安定と引き換えに失うもの
「でも、エージェント経由なら安定して仕事がもらえるじゃないか」という意見もあるかもしれません。
確かにそうです。毎月一定の収入が見込めるのは、精神的にも楽です。
でも、僕が感じた違和感は、そこじゃなかったんです。
この条件で働いたら、自分の成長が止まるんじゃないか。新しいスキルを身につける時間も、自分で営業する力をつける時間も、奪われてしまう。
長期的に見たとき、それは本当に「安定」と言えるのか?という疑問が湧いたんです。
フリーランスがエージェントを使わなくても仕事が取れる時代になった理由は?
結論から言うと、「間に誰かを挟まなくても、直接つながれる仕組み」が整ってきたからです。
昔と今の違い
10年前のフリーランスと、今のフリーランスでは、仕事の取り方がまったく違います。
昔のフリーランス:
- 人脈がすべて
- エージェントに登録して待つ
- 営業は対面が基本
- 実績を見せる場所がない
今のフリーランス:
- SNSで直接つながれる
- ポートフォリオサイトを無料で作れる
- クラウドソーシングで案件が見つかる
- 発信すれば向こうから声がかかることも
プラットフォームの発達
今は、フリーランスが自分で仕事を見つけるためのプラットフォームがたくさんあります。
- クラウドソーシングサービス
- SNS(特にXやLinkedIn)
- 自分のWebサイトやブログ
- オンラインコミュニティ
これらを使えば、エージェントを通さずに、企業やクライアントと直接つながることができます。
企業側も直接発注に慣れてきた
以前は、企業側も「フリーランスに発注するならエージェント経由」という発想が強かったんです。
でも今は、直接発注のメリットを理解している企業が増えました。
- マージンがかからないから、同じ予算でより良い人材を確保できる
- 直接やり取りできるから、意思疎通がスムーズ
- 長期的な関係を築きやすい
つまり、エージェントを介さない方が、企業にとってもフリーランスにとってもメリットがある場合が増えているんです。
自分で営業する具体的な方法
「直接仕事を取れる時代になった」と言われても、具体的にどうすればいいの?という疑問もあると思います。
僕自身が実践してきた方法をいくつか紹介します。
1. SNSでの発信
毎日とは言いませんが、定期的に自分の仕事や考えを発信しています。完成した作品だけでなく、制作過程や日常の気づきも含めて。
大事なのは「この人に頼みたい」と思ってもらえるような人柄を伝えること。スキルだけじゃなく、人として信頼できるかどうかも、発注する側は見ています。
2. ポートフォリオサイトの整備
自分の実績をまとめたWebサイトは、名刺代わりになります。今は無料で作れるサービスもたくさんあるので、ハードルは低いです。
ポイントは、ただ作品を並べるだけじゃなく、「どんな課題を、どう解決したか」というストーリーを添えること。見る人が「自分の課題も解決してもらえそう」と思えるかどうかが大事です。
3. 既存クライアントからの紹介
実は、これが一番強力です。良い仕事をすれば、クライアントが別のクライアントを紹介してくれることがあります。
エージェント経由だと、この「紹介の連鎖」が生まれにくい。なぜなら、クライアントとの関係性が薄いから。直接取引だからこそ得られるメリットです。
4. オンラインコミュニティへの参加
同業者やクライアントになりそうな人が集まるコミュニティに参加するのも効果的です。直接営業するというより、関係性を作っておく感じ。
困ったときに「そういえばあの人がいたな」と思い出してもらえる存在になることが大事です。
「登録者数万人」という数字が物語ること
電話の中で、その人材紹介サービスには数万人の登録者がいると聞きました。
数万人。すごい数字です。
でも、ちょっと考えてみてください。数万人の登録者がいて、何年も音沙汰がなかった僕のところに急に電話が来る。これ、どういうことでしょうか。
登録者が多い=案件が多いではない
数万人の登録者がいても、マッチングできる案件がなければ意味がありません。
むしろ、登録者が多いということは:
- 一人ひとりへのケアが薄くなる
- 似たようなスキルの人が溢れている
- 差別化が難しくなる
つまり、「数」を集めることに注力してきた結果、「質」が伴わなくなっている可能性があるんです。
「とりあえず登録」の弊害
僕自身もそうでしたが、「とりあえず登録しておこう」という人は多いと思います。
でも、その「とりあえず」が積み重なると、エージェント側も「本当に仕事を探している人」と「なんとなく登録しただけの人」の区別がつかなくなります。
結果として、全員に一斉に電話をかけるような非効率なことをせざるを得なくなる。今回の電話も、たぶんそういう流れの中の一本だったんじゃないかと思います。
数より質の時代へ
これからは、「たくさんの人を集める」より「本当に価値のある人とつながる」ことが重要になっていく気がします。
エージェント側も、登録者数万人を誇るより、本当にマッチングできた数や、継続的に仕事を紹介できている人数の方が大事なはずです。
でも、そこにフォーカスすると、たぶん数字は小さく見える。だから「数万人」という看板を掲げ続けているんでしょうね。
「作る人」の価値が上がる時代に、本当に必要なスキルは?

ここからは、もう少し大きな視点で話をしてみます。
人材エージェントが苦しくなっている背景には、「作る人」と「つなぐ人」の価値のバランスが変わってきたことがあると思うんです。
「間に入る」だけでは価値がなくなる
以前は、情報を持っていること自体に価値がありました。
- どこに仕事があるか知っている
- 誰がどんなスキルを持っているか知っている
- その両者を引き合わせられる
でも今は、情報はインターネットで誰でも手に入ります。「知っている」だけでは、価値を生み出せなくなっているんです。
本当に価値があるのは「作れる人」
一方で、価値が上がっているのは、実際に何かを「作れる」人です。
- デザインを形にできる
- コードを書いて動くものを作れる
- 文章で人を動かせる
- 映像で感動を生み出せる
AIが発達してきた今、「作る」という行為自体のハードルは下がっています。でも、だからこそ「本当に作れる人」の価値は上がるんです。
「本物を作る」とはどういうことか
ちょっと抽象的な話になるかもしれませんが、「本物を作る」ということについて考えてみます。
AIを使えば、誰でもそこそこのデザインは作れるようになりました。文章も、それっぽいものなら生成できます。
でも、「そこそこ」と「本物」には、決定的な違いがあります。
「そこそこ」で終わる人:
- ツールを使って出力するだけ
- クオリティの判断ができない
- 「これでいいですか?」と聞くしかできない
「本物」を作る人:
- 意図を汲んで形にできる
- クオリティの良し悪しを自分で判断できる
- 最終的な責任を持って納品できる
この違いは、AIがいくら発達しても埋まらないんじゃないかと思っています。
AIで淘汰される人、生き残る人の違いは?
結論から言うと、「表面的にうまくやってきた人」は厳しくなると思います。
AIで価値が下がる人
- ツールの使い方だけ知っている人
- マニュアル通りにしか動けない人
- 「間に入る」ことでしか価値を出せない人
こういう人たちの仕事は、AIに置き換えられる可能性が高いです。
AIで価値が上がる人
一方で、価値が上がるのは:
- 本質を見極められる人
- クオリティの判断ができる人
- 最終責任を持てる人
- 作る力と見せる力、両方を持っている人
特に最後の「作る力 × 見せる力」は、これからの時代に必須だと感じています。
両輪で回す重要性

いくら良いものを作っても、誰にも知られなければ仕事は来ません。逆に、見せ方だけうまくても、中身が伴わなければ長続きしません。
- 作る力 → 実際に価値を生み出す
- 見せる力 → その価値を伝える
この両方ができる人は、エージェントに頼らなくても仕事が取れます。むしろ、向こうから声がかかるようになります。
僕自身の経験
実際、僕もSNSやブログで発信を続けてきたことで、直接お声がけいただくケースが増えました。
最初は「こんなの誰が読むんだろう」と思いながら書いていましたが、続けているうちに、意外と見てくれている人がいることに気づきます。
そして、見てくれている人の中には、「この人に仕事を頼みたい」と思ってくれる人もいるんです。
これは、エージェント経由では絶対に得られない関係性です。
「お金を払う人が一番偉い」という現実
ここで、ちょっとシビアな話をします。
ビジネスにおいて、最終的に価値の流れを決めるのは「お金を払う人」です。
価値の流れを考える
人材紹介のビジネスモデルを、お金の流れで見てみましょう。
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クライアント企業 → エージェント → フリーランス
↓ ↓ ↓
お金を払う マージンを取る 仕事をする
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この構造の中で、エージェントはどこに価値を提供しているでしょうか。
クライアント企業に対しては「人材を探す手間を省く」価値。フリーランスに対しては「案件を探す手間を省く」価値。
でも、その「手間を省く」価値が、どんどん薄れてきている。だから、マージンを取ることが難しくなっているんです。
作る人の価値が見直される
一方で、実際に「作る」人の価値は変わりません。むしろ、上がっています。
- デザインを形にする
- コードを書いて動かす
- 文章で人の心を動かす
- 映像で感動を生み出す
これらは、AIがいくら発達しても、最終的には人間が責任を持って届ける必要があります。
「作る」ことの価値が正当に評価される時代になってきた、とも言えるかもしれません。
「仕事を持ってくる人」の価値
もちろん、営業や案件獲得ができる人の価値も高いです。それは否定しません。
でも、その価値は「案件を見つける」ことではなく、「適切な案件と適切な人をマッチングする」ことにあるはずです。
単に「仕事があるから誰かにやらせよう」という発想では、長続きしない。本当に価値のあるマッチングができる人だけが、これからも生き残っていくんだと思います。
人材エージェントとの上手な付き合い方
ここまでエージェントに厳しいことを書いてきましたが、完全に否定するつもりはありません。
エージェントが役立つケース
- フリーランスになりたての頃
- まだ実績がない段階
- 営業の仕方がわからないとき
- 大きな案件にチャレンジしたいとき
こういった場面では、エージェントを活用するのもアリだと思います。
ただし、依存しないこと
大事なのは、エージェントに「依存しない」ことです。
エージェント経由の仕事だけに頼っていると、いつまで経っても自分で営業する力がつきません。そして、今回の僕のケースのように、エージェント側が苦しくなったとき、一緒に苦しくなります。
理想的なのは:
1. 最初はエージェントも活用しながら実績を作る
2. 同時に、自分で発信・営業する力を磨く
3. 徐々に直接受注の割合を増やしていく
4. 最終的には、エージェントなしでも回る状態を作る
こういう流れを意識しておくと、長期的に安定すると思います。
電話を受けて気づいたこと
最後に、今回の電話を受けて気づいたことをまとめます。
「めんどくさい」という直感は正しかった
正直、電話を受けたときの第一印象は「めんどくさいな」でした。
条件を聞いて、割に合わないと感じた。食い下がられて、さらにめんどくさいと感じた。
でも、この直感は大事にしていいんだと思います。
自分の時間の使い方に違和感を覚えるなら、それはたぶん正しいシグナルです。無理に合わせる必要はありません。
業界の変化を肌で感じた
人材紹介業界が苦しくなっている、という話は聞いていました。でも、実際に「急に連絡が来る」という体験をすると、リアルに感じます。
これは人材紹介業界だけの話ではなく、「間に入るだけで価値を生まないビジネス」全般に言えることかもしれません。
自分の方向性を再確認できた
今回の電話をきっかけに、改めて自分の方向性を考え直しました。
- 時間を切り売りする働き方はしたくない
- 作る力を磨き続けたい
- 見せる力も同時に磨きたい
- エージェントに依存しない状態を維持したい
こういった方向性が、改めて明確になりました。
まとめ
今回は、何年も連絡がなかった人材エージェントから急に電話が来た話をきっかけに、フリーランスとしての働き方について考えてみました。
この記事のポイント:
1. 人材紹介業界は構造的に厳しくなっている
2. 「間に入る」だけでは価値を生み出せない時代
3. 時給換算で「割に合うか」を冷静に判断することが大事
4. フリーランスが直接仕事を取れる仕組みが整ってきた
5. 「作る力 × 見せる力」の両輪が重要
6. エージェントは活用しても、依存はしない
もし同じような電話を受けて迷っている人がいたら、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
大事なのは、自分の時間をどう使うか。そして、長期的に見て自分の価値を高められる選択をすること。
目先の安定に飛びつく前に、一度立ち止まって考えてみてください。
参考
- 人材紹介業の動向については各種経済メディアの報道を参照
- フリーランスの働き方に関する議論は筆者の実体験に基づく
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