アメリカで始まった「AI就職氷河期」。新卒と40代、それぞれの生き残り方

アメリカで始まった「AI就職氷河期」。新卒と40代、それぞれの生き残り方

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こんにちは、papanaviです。

SNSやYouTubeを見ていると、こんな話題をよく目にしませんか?

「今の新卒は売り手市場だから、とにかく大事にしないといけない」
「ハラスメントが怖いから、厳しく指導できない」

たしかに、これは事実です。2026年卒の採用充足率は69.7%で過去最低。4年連続で減少しています。企業は人が採れなくて困っている。

でも、僕はこう思うんですよね。

「この状況、そう長くは続かないんじゃないか」と。

なぜなら、AIがあるから。

今回は、アメリカで「すでに起きていること」を調べながら、日本の近未来について考えてみたいと思います。特に40代の僕らが、この変化にどう向き合うべきなのか。

結論から言うと、「恐怖」と「チャンス」は表裏一体だと思っています。

今の新卒は「甘やかされている」って本当?

本当です。でも、それには構造的な理由があります。

売り手市場の実態

2026年卒の新卒採用について、マイナビの調査を見ると驚きの数字が並んでいます。

  • 採用充足率:69.7%(過去最低)
  • 4年連続で減少
  • 企業の約7割が「人が足りない」状態

労働人口が減り続けている日本では、若者の希少価値が上がっています。企業は「選ばれる側」になってしまった。

ハラスメント対策と過保護の境界線

さらに、ハラスメント問題への対応も企業を慎重にさせています。

  • 厳しく指導すると「パワハラ」と言われる
  • 残業させると「ブラック企業」と叩かれる
  • 結果、腫れ物に触るような扱いに

これ自体は悪いことではないんです。昭和の体育会系マネジメントが減っているのは良いこと。

でも、企業側の本音を聞くと、こんな声も聞こえてきます。

「正直、人間を雇うのって、ものすごくコストがかかるんですよね」

採用コスト、教育コスト、ハラスメントリスク、退職リスク、福利厚生……。

これ、AIだったら全部発生しません。

だから僕は思うんです。今の「売り手市場」は、あくまで需給バランスの一時的な歪みであって、AIが実務レベルで使えるようになれば、「人間を雇う理由」自体が問い直される日が来ると。

アメリカでは「AI就職氷河期」がもう始まっている?

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はい、始まっています。しかも、かなり深刻な状況です。

衝撃のデータ:IT専攻ほど就職できない

アメリカのデータを調べて、僕は正直驚きました。

ニューヨーク連邦準備銀行が2025年4月に発表した報告書によると:

若者、しかも大卒の方が失業率が高い。これだけでも異常です。

でも、もっと衝撃的なのはこれ。

「コンピューターサイエンス専攻」の若者の失業率が6.1%
「コンピューター工学専攻」の若者の失業率が7.5%

……え?

ITを学んだ人ほど、就職できていないんです。

なぜ「最先端」を学んだ人が苦しんでいるのか

スタンフォード大学デジタル経済研究所の研究によると、AIに最も影響を受けやすい職種に就いている22〜25歳の若い労働者の雇用が、相対的に13%減少したとのこと。

つまり、「AIが得意な分野」を学んだ人ほど、AIに仕事を奪われている。

皮肉な話ですよね。

大手IT企業の動き

Google、Microsoft、Meta、Intel、IBM、Amazon……。

これらの企業は、2025年だけで約55,000件の解雇をAIを理由に実施しています。金融大手のJPモルガン・チェースも同様です。

特に削減されているのは「入社1〜2年目の若手社員」のポジション。

  • 初歩的なプログラミング
  • リサーチ業務
  • 報告書の作成
  • データ整理

これらは今、人工知能が担当しているそうです。

なぜAIは「新卒の仕事」を真っ先に奪うのか?

ここが重要なポイントです。AIが新卒を脅かす理由は、非常にシンプル。

新卒がやる仕事は、AIが最も得意とする領域だから。

新卒の仕事の特徴

入社1〜2年目の社員が担当する業務を考えてみてください。

1. ドキュメントの要約・整理
2. データ入力・集計
3. リサーチ・情報収集
4. 報告書・資料の作成
5. 基本的なコーディング

これ、全部AIの得意分野です。

ChatGPTやClaude、Geminiといった生成AIは、まさにこういった仕事を高速かつ正確にこなします。しかも24時間365日、文句も言わずに。

企業が計算し始めていること

企業の経営者は、こう考え始めています。

こうやって並べてみると、「なぜ人間を雇うのか」という問いが生まれるのは当然かもしれません。

「キャリアラダーの崩壊」問題

ここで深刻なのは、新卒ポジションがなくなると、その先のキャリアも育たないということ。

今まで企業は、新卒を「下積み」として採用し、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で育ててきました。

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新卒入社 → 下積み → 中堅 → 管理職 → 幹部
“`

このパイプラインが機能していた。

でも、AIが新卒の仕事を代替すると、入り口がなくなるんです。

Ivey Business SchoolのDilan Eren教授は、こう警告しています。

「ジュニアポジションをコスト削減で削るのは『指数関数的に悪い手』。社内人材パイプラインが崩壊する」

つまり、目先のコスト削減が、将来の人材枯渇を招く可能性がある。

でも、企業はそれでも削減に動いている。なぜなら、短期的な競争に勝たなければ、長期的な未来もないから。

日本に「AI氷河期」はいつ来るのか?

結論から言うと、2027〜2028年頃に最初の大きな波が来ると僕は見ています。

なぜアメリカより遅れるのか

日本とアメリカでは、企業文化が大きく異なります。

アメリカ企業の特徴:

  • 成果主義・即戦力重視
  • 解雇のハードルが低い
  • 意思決定が速い
  • 新しいテクノロジーへの適応が早い

日本企業の特徴:

  • 終身雇用・年功序列の名残
  • 解雇のハードルが高い
  • 意思決定が遅い
  • 新しいテクノロジーへの慎重姿勢

この違いがあるため、アメリカで起きていることが日本に波及するまでには、タイムラグがあります。

日本での兆候

でも、すでに兆候は見え始めています。

2026年1月の調査によると:

  • 9割の企業が「生成AI時代に採用戦略の見直しが必要」と回答
  • 半数以上が「AI化で採用人数が減少する」と予測
  • 37%のマネージャーが「Gen Zを雇うよりAIを使いたい」と回答

「今後はわからない」と答えた企業が57.7%で最多だったのも印象的です。つまり、多くの企業がまだ様子見の段階。

でも、どこかの会社が「10人分の仕事を2人+AIで回す」ことに成功して圧勝したら、雪崩が起きます。

予測タイムライン

僕なりの予測をまとめると:

この予測が外れることを願っていますが、アメリカの事例を見ると、かなり現実味があると思っています。

AIネイティブ世代はなぜ「恐ろしい」のか?

ここからが、本当に考えさせられる話です。

「AI氷河期」によって新卒が苦しむ一方で、AIを使いこなす若者たちが、信じられない成果を出し始めているんです。

15歳が月間5万ユーザーのサービスを構築

アメリカの15歳、Nick Dobroshinskyは「約10行のコード」でAI金融リサーチサービスを構築。月間5万人以上のユーザーを獲得しました。

10行ですよ、10行。

従来なら、こういうサービスを作るには:

  • プログラミングを学ぶ(数年)
  • 実務経験を積む(数年)
  • チームを組む
  • 資金を調達する
  • 開発に数ヶ月〜数年

これが全部すっ飛ばされた。AIがあれば、アイデアを直接形にできる時代になったんです。

AIユニコーン創業者の平均年齢が急落

Fortune誌の調査によると:

  • 2020年: AIユニコーン創業者の平均年齢 40歳
  • 2024年: AIユニコーン創業者の平均年齢 29歳

たった4年で11歳も若返った。

27歳以下の創業者によるAIスタートアップが、2025年だけで1億ドル以上調達しています。しかも10代がかなりの割合を占めている。

「1人で10億ドル企業」が現実に

AnthropicのCEO、Dario Amodeiはこう発言しています。

「AIにより1人で10億ドル企業を運営できるようになる。2026年に現実になるかもしれない」

実際、イスラエルの31歳のソロファウンダー、Maor Shlomoは、6ヶ月で作ったAIスタートアップBase44を8000万ドル(約120億円)で売却しました。従業員8人、VCなし、ブートストラップ。

2022年、平均的な高成長スタートアップは従業員1人あたり約15万ドルの売上でした。今のソロファウンダーは、1人あたり150万〜1000万ドルを生み出している。

10倍から60倍です。

「教育」の意味すら変わっている

興味深いデータがあります。

49%のGen Z求職者が「AIが大学教育の価値を下げた」と感じているとのこと。

実際、大学を中退してY Combinator(シリコンバレーの有名アクセラレーター)に参加する10代が続出しているそうです。

従来の価値観では「大学を出て、就職して、経験を積んで…」というルートが王道でした。でもAIネイティブ世代は、このルートを「非効率」と見なし始めている。

「4年かけて大学で学ぶより、AIと一緒に今すぐ何か作った方が早い」

そういう判断をする若者が増えているんです。

「経験」の意味が変わる

従来の世界では、「20年の経験」は大きな価値でした。

  • 業界の慣習を知っている
  • クライアントとの関係がある
  • 失敗から学んでいる
  • 暗黙知を持っている

でも、AIネイティブ世代はこう反論するかもしれません。

「その20年で学んだことの多くは、AIに聞けば3分でわかる」

もちろん、これは極端な言い方です。経験には言語化できない価値がある。

でも、「経験がなければできない」と思われていた仕事の多くが、AIによって「経験なしでもできる」ように変わりつつあるのは事実です。

コーネル大学教授の警告

この状況について、コーネル大学のJohn McCarthy准教授はこう警告しています。

「政策・教育・採用慣行が調整されない限り、AI移行期の初期に卒業する世代は失われた世代となってしまうかもしれません」

「失われた世代」という言葉は重いです。

つまり、今まさに就職しようとしている若者たちが、AIとの競争に巻き込まれ、キャリアのスタートを切れないまま取り残される可能性がある。

一方で、AIを武器として使いこなす若者は、従来の「経験」をすっ飛ばして成功していく。

この二極化が、これから加速していくのかもしれません。

40代の僕らはどう動くべきか?

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さて、ここからが本題です。

この状況を見て、40代の僕らはどう動くべきなのか。

正直に言うと、僕も答えを完全には持っていません。試行錯誤の真っ最中です。

でも、一つ確信していることがあります。

「橋渡し世代」としてのポジションを取ること。これが最大のチャンスになりうる。

40代が持っている「両方の言語」

考えてみてください。僕ら40代は、こういう経験を持っています。

従来型ビジネスの理解:

  • 対面での商談の作法
  • 電話やFAXでのやり取り
  • 紙の書類、ハンコ文化
  • 年功序列・終身雇用の世界
  • 「経験」が評価される職場

デジタルへの適応:

  • PCの普及を体験
  • インターネットの黎明期を知っている
  • SNSも使える(使いこなせているかは別として)
  • 生成AIも触っている(これも同じく)

つまり、「昔ながらのビジネス」と「新しいテクノロジー」の両方を理解できる立場にいるんです。

50代以上のクライアントは「AIが苦手」

僕はデザイナーとして20年やってきて、いろんなクライアントと仕事をしてきました。

正直に言うと、50代以上の経営者や担当者の多くは、生成AIに対してこんな反応です。

  • 「ChatGPT?聞いたことはあるけど、使ったことない」
  • 「なんか怖い」
  • 「どう使えばいいかわからない」
  • 「そもそも必要性を感じない」

一方で、彼らは意思決定権を持っている。予算を動かせる立場にいる。

ここにギャップがあるんです。

10代・20代は「従来型ビジネス」がわからない

逆に、AIネイティブ世代はどうか。

彼らはAIを使いこなす能力は抜群です。でも:

  • 50代の経営者との商談の仕方がわからない
  • 「空気を読む」コミュニケーションが苦手
  • 電話やメールの作法がわからない
  • 「根回し」や「お伺い」の文化を知らない

これも当然です。そういう経験をしてこなかったんだから。

「橋渡し役」という価値

ここに僕らの価値がある。

上の世代(50代以上)に対して:

  • 「AIってこういうものですよ」と翻訳できる
  • 導入の不安を理解しながら、メリットを伝えられる
  • 信頼関係のベースがある(同じ世代感覚)

下の世代(AIネイティブ)に対して:

  • 「従来のビジネスってこうなってるんだよ」と教えられる
  • クライアント対応の作法を伝えられる
  • 「人間相手の仕事」のノウハウがある

どちらか一方だけだと価値が半減する。両方を理解している人が、これからますます重要になると思います。

具体的に何をすべきか

僕自身が実践していること、あるいは実践しようとしていることをリストにします。

1. AIツールを毎日触る
– 「使いこなせている」必要はない
– 「何ができて、何ができないか」を肌感覚で知っておく
– 新しいツールが出たらとりあえず試す

2. 従来型クライアントとの関係を維持・強化する
– 対面での信頼関係は、AIには代替できない
– 「この人に頼めば安心」というポジションを固める
– AIを「裏方」として使いながら、成果を出す

3. 自分の「AI活用事例」を作る
– 実際に使った体験談は、説得力がある
– 成功事例も失敗事例も財産になる
– それを発信することで、同世代の悩みに応えられる

4. 若い世代の動きを観察する
– 彼らが何を作っているか
– どんなツールを使っているか
– どんな価値観で動いているか

5. 「1人で億単位の価値を作れるシステム」を模索する
– ソロファウンダーの成功事例が増えている
– 僕らにもできるかもしれない
– 少なくとも、その可能性を閉じない

まとめ:恐怖と同時にチャンスを見る

長くなりました。最後にまとめます。

今起きていること:

  • 日本では新卒が売り手市場だが、アメリカでは「AI就職氷河期」がすでに始まっている
  • IT専攻ほど就職できないという逆転現象
  • 企業は「人間を雇う理由」を問い直し始めている

これから起きること:

  • 日本にも数年以内に大きな波が来る可能性
  • AIネイティブ世代が「経験」をすっ飛ばして成果を出す
  • 「1人で億単位の価値を作る」ことが現実になる
  • 中間層(エントリーレベルと中間管理職)が消失する

新卒・若手がやるべきこと:

  • 「AIに代替されない仕事」を見極める
  • AIを「競争相手」ではなく「武器」として使いこなす
  • 従来のキャリアパス(大企業→出世)に固執しない
  • 「経験がないからできない」という思い込みを捨てる

40代がやるべきこと:

  • 「橋渡し世代」としてのポジションを取る
  • 上の世代にはAIを翻訳し、下の世代にはビジネスの作法を伝える
  • AIを毎日触りながら、従来型クライアントとの関係も維持する
  • 恐怖を感じながらも、チャンスを見る

正直、僕自身もこの変化に対して不安があります。20年やってきたデザイナーとしての経験が、どこまで通用するのか。

でも、こうも思うんです。

「変化の渦中にいる」こと自体が、一つの強みになりうる。

新卒も40代も、同じ不安を抱えている人は山ほどいる。だからこそ、「こういうことやってみたよ」「こうだったよ」と発信することに意味がある。

怖さと同時に、チャンスを見る。

そういうスタンスで、この時代を生き抜いていきたいと思っています。

参考